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-知っておきたい-
フリーランスの契約知識
 

フリーランスと業務委託契約

 

1.フリーランスとは

 フリーランスとは、一般に、会社などの組織に所属せず個人として仕事を請け負う働き方やそのような働き方をしている人のことをいいます。政府が策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(以下、「ガイドライン」)では、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指す」としています。フリーランスは、法律的には「従業員」ではなく、「個人事業主」です。従って、フリーランスは、以下の点で、発注者と雇用関係にある従業員や契約社員とは異なります。

 (1)発注者はフリーランスに対して指揮命令権を持ちません。

フリーランスと発注者はそれぞれが独立した事業主なので、フリーランスが業務を遂行する場所や時間、仕事のやり方などについて発注者から指示はできません。

 (2)フリーランスに労働関係法令は適用されません。従って、

①フリーランスには法定労働時間の制限や休日はありません。自分の自由裁量で仕事を進め、休みをとります(発注者と別段の合意をした場合を除く)。

②フリーランスには最低賃金の適用はありません。報酬は発注者との合意によります。

③フリーランスには失業保険や労災保険がありません。

④フリーランスに解雇規制はなく、発注者は、契約に特に定めがない限り、いつでも契約を終了させることができます。

⑤フリーランスに無期転換ルールは適用されません。

 ※ 無期転換ルールとは、有期労働契約が5年を超えた従業員から申し込みがあった場合に、期間の定めのない無期労働契約に転換しなければならない制度です。

 フリーランスを活用することは、発注者にとって、専門性の高い人材を必要な時だけ利用することができ、人件費を節約・効率化できるという大きなメリットがあります。

 2021年4月から施行された「改正高年齢者雇用安定法」により、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となり、今後、一定年齢を機に雇用から業務委託に切り替わりフリーランスとなるシニアが増加していくことが予想されます。

 

2.業務委託契約

 フリーランスが仕事を請け負う場合、発注者と「業務委託契約書」を取り交わすことが多いと思いますが、特に契約書を作成しないかもしれません。しかし、その場合でも、法律的には当事者間で「業務委託契約」が成立しています。

また、フリーランスに発注する業務が発注者の業務の下請けに該当する場合は、下請法が適用され、同法第3条で定める「発注時の取引条件を明確にする書面」をフリーランスに交付(メールでもよい)しなければなりません。発注時の取引条件を明確にする書面には、「取引の対象となる役務等の具体的内容や品質にかかる評価の基準、納期、報酬の額、支払期日、支払方法等について、取引当事者間であらかじめ取り決めた取引条件」を明確に記載する必要があります。業務委託契約書においても、同様の取り決めが必要です。

 なお、業務委託契約に関して注意すべき点は、以下のとおりです。

 (1)業務委託契約とは

業務委託契約とは、会社などの発注者がフリーランスなどの受注者に一定の業務を委託し、受注者がその業務を行うことによって報酬を得る契約のことをいいますが、民法上は「請負契約」または「準委任契約」のいずれかにあたります。いずれにあたるかは、委託される業務の内容によります。

 ① 請負契約とは

請負契約は、仕事の完成や成果物の納品を目的とし、その対価として報酬を受ける契約です。例えば、ソフトウエアのプログラミング、ホームページやデザインの制作、ビルの清掃やテイクアウトの配達などがこれに該当します。仕事や成果物の完成を目的としているので、仕事が不完全な場合、やり直しや補修を求められます。なお、美容院でカットを依頼したところ、依頼者の希望どおりにできなかったというケースでは、もし請負契約であれば、契約違反となりますが、次に述べる準委任契約であれば、責任は問われないことになります(現状、どちらかは明確になっていません)。

 ② 準委任契約とは

準委任契約は、委任契約と同様、一定の業務を行うことにより報酬を受ける契約です。委任契約と準委任契約の違いは、例えば、弁護士に訴訟を依頼する場合のように、委任する業務が法律行為であれば「委任契約」となり、家庭教師を頼んだり、コンサルタントに経営の改善を依頼する場合のように、委任する業務が法律行為でなければ「準委任契約」となります。

準委任契約は、一定の業務の遂行が目的であり、受任者は仕事の結果や成果物の完成につき義務を負いません。つまり、委任者が希望する結果(例えば、裁判で勝訴したり、志望校に合格したり、経営が上向き利益が増加したり)にならなくても、受任者には責任はないということです。

 (2)偽装請負の問題

偽装請負とは、実質的には雇用関係にあるのに、業務委託(フリーランス)の形で仕事をさせることをいいます。雇用関係にある場合には労働関係法令が適用され、雇い主には解雇制限のほか、社会保険料や労働保険料を負担する義務が生じます。このような義務を回避するため、形の上では業務委託ということにしているのです。偽装請負は労働基準法などの法律違反であり、実質的な雇い主(委託者)が処罰の対象になります。

 形の上では業務委託であっても、以下のような状況がある場合は、偽装請負が疑われます。

・業務遂行方法や使用器具に関し委託者が細かく指示を出す。

・勤怠管理(始業/終業時刻、就業時間、休憩時間の指定)を行っている。

・委託者の事業場内に常駐して業務を行っている場合、遅刻や早退、外出などについて委託者の承認が求められている。

 ※ ガイドラインでは、労働基準法の「労働者」にあたるか否か(労働者性)について、「使用従属性」すなわち

①労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか

②報酬が「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか

を基準として判断するとしています。

例えば、①については、「発注者から具体的な仕事の依頼や、業務に従事するよう指示があった場合などに、それを受けるか受けないかを受注者が自分で決めることができる」かどうかが指揮監督関係を判断する重要な要素になるとしています。

 ※ 裁判において労働者性が否定された例として、ガイドラインでは、「運送業の持ち込み運転手」や「作業場を持たず一人で内装等を請け負う大工」の場合が挙げられています。

 

3.優越的地位の濫用

ガイドラインでは、発注者がフリーランスに業務委託を行うにあたり、以下の行為(想定される一例です。これらに限られません)を、優越的地位の濫用(または下請法違反)として問題になりうるとしています。

 (1)報酬の支払遅延

①社内の支払手続の遅延などを理由として、自己の一方的な都合により、契約で定めた支払期日に報酬を支払わない。

②フリーランスが成果物の提供を終えているにもかかわらず、その検収を恣意的に遅らせることにより、契約で定めた支払期日に報酬を支払わない。

 (2)報酬の減額

①フリーランスが役務等の提供を終えているにもかかわらず、業績悪化、予算不足、顧客からのキャンセル等自己の一方的な都合により、契約で定めた報酬の減額を行う。

②自己の一方的な都合により仕様等を変更した結果、フリーランスの作業量が大幅に増加することになったため、作業量増加分に係る報酬の支払いを約したにもかかわらず、当初に定めた報酬しか支払わない。

 (3)著しく低い報酬の一方的な決定

①短納期の設定により費用が大幅に増加するため、フリーランスが報酬の増額を求めたにもかかわらず、通常の納期で発注した場合と同じ報酬を一方的に定める。

②自己の予算単価のみを基準として、一方的に通常の報酬より著しく低い報酬を定める。

 (4)やり直しの要請

①予め定めた仕様を自己の一方的な都合により変更したにもかかわず、そのことをフリーランスに伝えないまま作業を行わせ、成果物の提供時に仕様に合致していないとして、やり直しをさせる。

②自ら確認・了承した委託内容をフリーランスが提供したにもかかわらず、内容が違うとしてやり直しをさせる。

 (5)一方的な発注取り消し

契約の履行に必要な機材・ソフトウエアなどをフリーランスが既に調達しているにもかかわらず、自己の一方的な都合により、その調達に要した費用を支払うことなく、発注を取り消す。

 (6)成果物に係る権利の一方的な取り扱い

役務等の提供に伴い、フリーランスに著作権等の権利が発生・帰属する場合に、これらの権利が自己との取引の過程で得られたことを理由に、一方的に、作成の目的たる使用の範囲を超えて当該権利を自己に譲渡させる。

 (7)成果物の受領拒否

①フリーランスが成果物を提供しようとしたところ、業績不振に伴い当該成果物が不要になったことを理由に、成果物の受領を拒否する。

②予め定めた検査基準を恣意的に厳しくして、発注内容と異なること又は瑕疵があることを理由に、当該成果物の受領を拒否する。

③発注後に、予め合意した納期をフリーランスの事情を考慮せず一方的に短く変更し、その納期までに提供が間に合わなかったとして成果物の受領を拒否する。

 (8)成果物の返品

①成果物を購入した客から返品されたことだけを理由に、フリーランスに返品する。

②直ちに発見できる瑕疵であったにもかかわらず、成果物の検収に要する標準的な期間をはるかに経過した後になって、瑕疵があることを理由に返品する。

 (9)不要な商品又は役務の購入・利用強制

①購入しなければ取引を打ち切る、注文の頻度を減少させるなど、今後の取引に影響すると受け取られるような要請をすることにより、自己の指定する商品を購入させる。

②フリーランスに対し、役務等の提供上必要ないにもかかわらず、自己との取引先が提供する役務を利用するよう一方的に要請し、利用させる。

 (10)不当な経済上の利益の提供要請

①決算対策のための協賛金を要請し、フリーランスに負担させる。

②契約内容に情報システムの改修・保守・点検を行うことが含まれていないにもかかわらず、フリーランスに対し、情報システムの改修・保守・点検を無償で提供させる。

③契約で定められた役務の内容ではなく、発注内容とも関連がないにもかかわらず、フリーランスに対し、自己の顧客に対する営業活動に参加すよう要請し、無償で参加させる。

 (11)合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定

既に研修等の人材育成に要する費用を回収し終わったにもかかわらず、当該費用の

回収を理由として、フリーランスに対し一方的に競業避止義務や専属義務を設定する。

 

4.相談先

フリーランスの契約に関するトラブルについては、「フリーランス・トラブル110番」という公的相談窓口があり、無料で弁護士への相談から解決まで支援してもらえます。

また、下請法違反に該当する場合は、「下請かけこみ寺」という無料相談窓口があります。

 

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